ぼっち・ざ・ろっくのこと

ぼっち・ざ・ろっくのこと

今大人気のアニメ ぼっち・ざ・ろっく。もうご覧になられたでしょうか?ネット上では賛否を交えて盛り上がっています。

当ブログではギターのネタも多いのでこのブームについて思うことをニュートラルな立場で語ってみようと思います。

レスポールカスタム

まずですね、わたくしこのアニメを観ていません。怒らないで下さい。よく観るギターユーチューバーの動画で知りました。

この度のブームのおかげで売れたレスポールカスタムの中古品がメルカリなどに大量に出品されてるんだそうです。

この珍現象に否定的な意見も散見されましたが別に悪いことじゃないよね。エレキギターを買った人の半分がFで挫折し残りの半分がBで挫折します。(個人の意見デス)

レスポールが重いのも原因のひとつかと思います。女の子の選ぶギターじゃない。ぼっちちゃんはお父さんのギターを譲り受けたという設定。

このチョイスは”けいおん”へのリスペクトともとれます。

本編の映像はいくつか観ることができました。神回と誉高い第8話。グダグダでまとまりのない演奏。観客もシラケムード。人前で演奏したことがある人なら経験があると思います。

この時の感情を言葉にするなら

殺してくれ

このままじゃ終われない。ぼっちちゃんが覚醒します。

ぼっちちゃんのメソッド

この時演奏される曲 タイトル”あのバンド”。

押入れの中で腕を磨き続けてきたぼっちちゃんになにかが降りてきます。

イントロ前にエモーショナルなソロが入ります。まずこれが難しい。単音カッティングで入るゴーストノート。その直後の16の速いピッキング。

ぼっちちゃんは高校デビューを夢見てギターを始めたそうで『ここ数年の流行りの曲はマスター』しているらしい。

この言葉から勝手にぼっちちゃんのギターメソッドを分析してみたい。

カッティングギターからポルカドットスティングレイがまず思い浮かびました。ギターはエジマハルシ。精密でキレのあるカッティングで現代のギターヒーローの一人と言えるでしょう。

以前紹介したサイダーガールも聴いていたかもしれない。こちらもカッティングギターがカッコいいバンド。メンバーの出自も動画投稿していたぼっちちゃんとイメージが重なります。

カッティングギターはストラトやテレキャスのイメージがありますがお父さんから譲り受けたレスポールでやってるのがポイント。

つまり音作りに関してギター本体(レスポール)の特性にこだわっていないことが想像できます。

ぼっちちゃんのメソッド2

漫画(1巻は読んだ)ではぼっちちゃんの練習の日々は2、3コマだけで具体的な描写はありません。

ギターをパソコンやタブレットに繋いで演奏することは当たり前の時代になりました。恐らくぼっちちゃんはアプリ内のアンプシュミレーターを使って練習していたと思います。

もしくはお父さんからマルチエフェクターも譲り受けていたとか?(お父さんは余生でギターを趣味で弾くためにこっそり買っておいたとか)

件の”あのバンド”のソロをもう一度聴いてみましょう。先述の二組のバンドよりも攻撃的なサウンドメイクになっています。

ぼっちちゃんが踏んでる青いエフェクターはおそらくBOSSのブルースドライバー。高音域のエッジが効いています。

エフェクターボードのアイデアが彼女のものかはわかりませんがアニメのさりげない描写で人となりを連想させるいい演出だと思いました。(空間系エフェクターも組まれているはず)

ちょっとラジカルな旋律とヘビーなサウンド。デスメタルも聴いていたというぼっちちゃん。漫画であっさり語られる情報をうまく拾い上げています。

ラジカルな旋律とメタルっぽいサウンドは”八十八ケ所巡礼”の初期の楽曲にも共通するところがあります。オープニングでちらっと映る鯖缶、スタッフで好きな人絶対いるはず(八十八ケ所巡礼は3ピースのすごいバンド)。

メインリフではRADWINPSみたいなところもありますね。彼らの大ヒット曲”前前前世”のリードギターも腕自慢で動画あげてる人が多いしぼっちちゃんも再生回数増やすためにコピーしたんじゃないかな。

“ギターと孤独と蒼い惑星”のイントロはあれですね、ハイスタンダードのSTAY GOLD。オクターブ奏法のバッキングや16の単音はパンクやメロコアからの影響もありそうです。

ぼっちちゃんのギターはあまり歪ませてなくてヘビーなバッキングはボーカルギターのきたちゃんのレスポールJr.が担当。

歌物の結束バンドでテクニカルなギターが邪魔にならないようなアンサンブルになっていると思います。

ロックバンドとアニメ

結束バンドのLIVEシーンはカメラアングルも凝っていて見応えがあります。先述のエフェクターを踏むシーンや演奏者の目線はスタッフのこだわりを感じました。

ギターのヘッド側からの定点カメラのような映像もMVみたいで結束バンドのMVとして楽しむことができます。

スネアドラムからの煽りの虹夏もカッコいい。演奏シーンはリアルで音響さんのナイスなアシストもさらっと描いていてスタッフのロケハンやリサーチがしっかりしているのがわかります。

楽曲を提供したプロの方たちのアドバイスもあったのかもしれません。アジカンの後藤さんの名前もありますね。

“けいおん”や”涼宮ハルヒの憂鬱”など音楽を題材にしたアニメは演奏シーンが重要でCG技術の発達でリアルに描かれています。

ガールズバンドの話が多いようですが”BECK”や”坂道のアポロン”なんかもあり総じて音楽を題材にしたアニメは良作 名作揃いです。

COBAIN MONTAGE OF HECKのアニメは最高DEATH!(カートコバーンのドキュメンタリー)まさにhow low?な気分を体験できます。

映画ボヘミアンラプソディーや昨年公開の”犬王”などエンターテイメントとして映像と音楽の関わり方が密接になってきてその表現のひとつの形が結束バンドであったと言えるでしょう。

ギターヒーロー

ぼっちちゃんのメソッドについてまとめると

  1. レスポールのゴリゴリサウンドではない。
  2. 下北系ギターロックの影響
  3. メロコアやメタルのメソッド
  4. 精密なカッティングとリフ
  5. ボトルネック奏法などのスキルも習得

 (アクシデントにもすぐ対応できる柔軟性)

楽曲提供はプロの方が複数いらして原作をよく理解しぼっちちゃんのギタリストとしてのキャラクターを表現できていると思います。

つまり架空のギターヒーローに命が吹き込まれたといえます。

おまえアニメみてないんだよね?

無視して続けます。GUITAR HEROと名乗り動画投稿していたぼっちちゃん。僕の頃とはギターヒーローのありかたが変わってきました。

誰もがネットでヒーローになれる時代。でもほんとは孤独。ネットと現実の生き方がこの物語のテーマでもあります。

ぼっちちゃんに憧れてギターを買った少年少女たち。そしてすぐに売っちゃった人たち。

飽きたり諦めたりすることはは全然悪いことじゃないよ。ただ思い出してほしい。ぼっちちゃんがローコードから練習を始めたことを。ギターなんか上手くならなくていいんです。でも続けていると良いこともあるよ。

ぼくはみたよ

まとめ

きたちゃんも何気にうまい。