デデデのこと

デデデのこと

浅野いにお先生の”デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション”(以下デデデ)完結しました。

現代社会の問題をSFで描いた作品。ネット界隈では伏線厨やおんたんロスで賑わっているでしょうか?(みないでおこう)

デデデや他の浅野作品についての雑記。

イソベやん

デデデ各巻の巻頭でカラー掲載された劇中の漫画”イソベやん”。要するにドラえもん。

デデデの物語の収束は最初から示唆されていてカウントダウンに向けて分岐点があるのはなんとなく予感がありました。

タイムマシンはご都合主義のガジェットかもしれませんがそこには作者の願いが込められている場合があります。

おんたんや門出の父親の願いで分岐する世界線は等価で未来に残ったマコトはエライ。

ラストの門出の父親が分岐させた並行世界は何も起こらなかった世界。ただどの世界でもおんたんとヒロシは強く優しい。

タイムマシン

デデデのタイムマシンは物語を収束させる機能とリスタートのポイント。最近のSFではループする世界線とそれによって無限に生まれる並行世界がテーマになることが増えました。

あの時こうしておけばとか悔やむことも多い人生ですが何度目かのループだったらどうしますか?

宇宙人の技術でも不完全なタイムマシンはループした本人は無自覚で過去のある地点に戻ります。(肉体は重複することなく過去の自分に)

門出の父親ノブオが戻った過去は少し様子が違っていますね。すでに他のものに改変がされた世界と思われます。

ループの際に現れる時間を可視化したような空間。個人の人生を集積するプロセッサのような装置として表現されています。

その先の黒い地球を指差す四本の腕はゼロ磁場と呼ばれる謎の球体と関係ありそうです。

ゼロ磁場も結局謎のままですがアカシックレコードみたいな概念のアーカイブで宇宙人の”つとむ”と”ゆりこ”が再開した空間と同じものでしょう。

並行世界

ノブオがリスタートさせる世界を含めて四つの並行世界が存在することになります。(個人の見解デス)

整理してみると

1 門出が死ぬオリジナルの世界線

2 門出が死なない世界線

3 イソベやんが存在しない世界線

  (ノブオのリープした世界線)

4 ノブオがやり直す世界線

3の世界線は2の世界線の何者かの介入で物理的なリープも可能にする完全なタイムマシンの開発も示唆されるセリフも語られています。

他のタイムマシンの分岐させた並行世界も初代のタイムマシンに同期して集積されるのかはよくわからないけど過去に戻るゲート付近の空間は共通のゼロ磁場内部の超空間(妄想デス)。

ノブオが3の世界線に降りれたのは門出が呼んでくれたからかな?

4のノブオが分岐させた世界線にイソベやんのコミックを置いてきたのは物理移動の可能な2の世界線の人間。

出会うはずだった者たちの精一杯のメッセージ。

おんたん(中川凰蘭)

デデデの魅力の8割は

おんたんDEATH!

異論はないと思います。太眉でゲーム脳のツインテール。モデルは”生ハム”のにっちゃんかなあ?

キホが事故に巻き込まれて死んだ時の

知ってるよ!

いい歳したオッさんがボロ泣きですよ。

時折みせる悲しげな表情も彼女の正体と目的がラストにむけ明かされていき読み返してみるとさらに切ない。 

おんたんの兄ヒロシもいいキャラクターだったなあ。裏垢(同年代の少女のフリ)でやりとりしていた受験生(試験当日受験票紛失)をリアルで励ましにいく回がまた泣けるんですよ。気持ち悪いでしょ。

妹思いのデブのニート(まとめブログで収入有り)。実は痩身のイケメン。

元?に戻った世界で”俺がデブになったらこの世も終わりだ”と言わせています。

大葉とマコト

この二人の友情も見どころのひとつ。大葉がマコトを選んだのは男同士だったことと外見を偽っている者同士のシンパシーからでしょうか?

大葉はイケメン要員ですがキーパーソン。マコトは女装が趣味の少年。おんたんのループ前の記憶を追体験するのは人間のマコトにも知る義務があったとゆうこと。(大葉は宇宙人)

マコトはノンポリですが無知ゆえの素直さが選ばれた1番の理由なのでしょう。

逆にふたばは正義感から侵略者擁護の政治活動に啓蒙しなにかしらの派に立つ弱さが描かれます。(おんたんに怒られます)

門出

デデデが親子の物語として帰結したのは以外でした。行方不明だったノブオの一言が呪いを解く最後のピース。

8,32以降の地獄を目の当たりにしその地獄を生んだ娘の地獄も追体験したノブオの心境を表情から読むことはできない。

過去に戻った表情は柔和でどこにでもある親子の朝の日常。

門出もなぜか朗らかです。ノブオが戻る前に別のタイムマシンでタイムリープが行われているのは先程推測として述べました。

宇宙人(イソベやん)と接触する夏期講習合宿よりさらに過去へのタイムリープで図らずも門出に悪影響を与えてしまった漫画イソベやんのない世界です。

これは悲しみを一人で背負うおんたんの解放です。未来に残った大葉やマコトが二人を幸せにするために操作したのでしょうか?

ただ過去のリープでおこる悲劇も知っている二人は最低限の介入にとどめているのかもしれない。

イソベやんとずんだッチの作者はペンネームが違うだけで多分同じ人。内容もさほど変わらないでしょう。

新しい世界では大葉とマコトとは接点がなくなり亜衣や凛もでてきません。ディストピアだったけどいいこともたくさんあった。

門出やキホが死なないでおんたんを悲しませない世界はそれでも完璧なのかもしれません。

地球がくそやばい

ちょっと謎も残して完結したデデデ。さみしいですなあ。タイムリープの考察は個人の見解なので間違ってたらスマソ。

デデデのコミックはカバーも凝っててやっばり漫画は紙にかぎるなあ。本編に関係ないおんたんと門出のファンアート風の絵がツボった。

アニメ化決定だそうで楽しみです。漫画を読むことで僕らの世界もデデデの並行世界になってる仕掛けがうまく表現できたらいいですね。

タイムリープものではハッピーエンドも描かれますが並行世界のディストピアで門出とおんたんは今も戦い続けています。僕たちも。

まとめ

長くなったのでソラニンの話は次回。