泣ける話
映画や音楽で結果泣ければそれはそれでいいんですが、”全米が泣いた“だのハンカチをご用意してご覧下さいとか言われると全然泣けません。
個人的に泣ける(泣けた)音楽や映画の話。
世界の終わり
ミッシェルガンエレファントのデビュー曲。
そして最後のコンサートのラストで演奏された曲。
解散の理由はよく知らない。ロックバンド長くやってると方向性の違いだので不仲になったり、あとバンド解散に女の影あり。
シド&ナンシーしかり、ジョンとヨーコしかり。人気絶頂の時に解散したミッシェルには何があったんだろう。
件の”世界の終わり”の演奏はYouTubeでみることができます。
アベさんの表情が切なすぎる。泣いてるでも怒ってるでもないこの表情。
演奏途中弦が切れてしまいます。切れてからの演奏を聴くかぎり恐らくD弦(細い弦から数えて4番目)。
それでも演奏は続きます。満身創痍のギター。弦が切れてからも演奏に支障がないのは流石プロ。
ボーカルのチバさんがはけても演奏を続ける3人。終わらないでくれ。
ギターのフィードバック音が鳴り止まぬ中残りのメンバーも去っていきます。
普段ほとんど喋らないアベさんのありがとうが泣けます。このときアベさんはどんな気持ちだったのかなあ。
ラストが”世界の終わり”なのは出来過ぎ。
ただたしかに何かが終わったし、ミッシェルが伝説になった瞬間でもありました。
クリープ
レディオヘッドの代表曲。コンサートでは、もう演ってくれない曲。
ファーストアルバム”パブロハニー”に収録。美しいアルペジオで始まるこの曲。
you’re so fuckin special
君はクソ特別な人
このあとジョニー・グリーンウッドのギターが
がこおん
トム・ヨークの怒りと悲しみが爆発したかのような轟音。歌詞はこう続きます。
僕はウジ虫。ここにいるべきじゃない。
トム・ヨークが変人なのは、自他共に認めるとこでしょうが学生時代はイジメられていたそうです。
ロックは、グループからはみ出したものがやるべき音楽。マシンガンのかわりにギターをもってゴミカスどもの頭を吹っ飛ばせ。
この曲は学生時代の経験から作られたそうです。ハイスクールとかのプロムにノコノコやってきたキモい自分。
好きな子には会いたい。気づいて欲しい。でも場違いな自分を呪います。
ホラー映画キャリーでは、プロムは惨劇になります。スクールカーストなんて言葉もありますが、社会にでても大して変わらない。
がこおん のとこでいつも救われます。
クラスに馴染めない少年少女たち。
クリープを聴きなさい。
ビッグフィッシュ
原作ダニエル・ウォレス
監督ティム・バートンの映画。
好きな映画のひとつ。父親の話すホラ話。幼い頃から聞かされてきた息子。
セールスマンで留守がちだったのもあり、外ヅラのいい父親にうんざり。疎遠に。
冠婚葬祭でたまに会う親戚なら諦めもつくけど実の父親だと面倒くさい。
キャスティングが良かった。
父親エドワード役は、アルバート・フィニー
若かりしエドワードはユアン・マクレガー。
父親の語る盛りすぎの過去のシーンと余命僅かの残りの日々を生きる現代。撮り方も変えてあります。
現代のシーンは、リアリティのあるカメラワークで照明も自然光に近い感じで撮られています。
エドワードの武勇伝に登場する人たち。魔女、巨人、サーカス団長。
兵役を早く終わらせたいため危険な任務に就くエドワード。某国へパラシュートで降下、潜入。
このシーンのレクリエーションでクソつまんない腹話術?を見せられる某国の兵士たち。
ステレオタイプといったらそれまでですが吹き出してしまった。この後”双子”の女性歌手に逃亡を手助けしてもらい脱出。
ダニエル・ウォレスの次作。
“ミスター・セバスチャンとサーカスから消えた男の話”では現実と虚構がさらに複雑に混じりあっています。この作家、サーカス好きみたいですね。
本作は回想をファンタジーとして描いていますがどの家族にもある親子の話。
年老いたエドワードがバスタブの中に浸かって奥さんにこう言います。
乾いてしまった。
現実パートでのこの台詞。
ホラ話のネタが尽きてしまったともとれますが死を覚悟する自分を精一杯ウィットに表現しています。
乾いてしまったエドワードが戻る場所。
それはきっと…
ジャングル大帝
手塚治虫の漫画。昔のアニメは正直退屈でした。漫画の最終回を読んだのは大人になってから。
平成になってからこのエピソードもアニメ化。希少資源 月光石採掘のためジャングルを人間は開拓。
レオたちがジャングルを人間から守るそんな話だったような。
悪党ハムエッグ。声は落語家 立川談志師匠が好演。
ラスト雪山で野営するレオとヒゲオヤジ。吹雪は止む気配もなくこのままでは2人とも凍死してしまう。
突然ヒゲオヤジに襲いかかるレオ。ヒゲオヤジのナイフにわざと刺され死んでしまいます。
私の肉を食べて飢えをしのぎ毛皮を着て寒さに耐え生きて山を降りてください。
そのメッセージを受け取りヒゲオヤジは1人雪山から生還するのです。
戦争経験のある方の作品では、生きることが食べることであることが経験からリアルに描かれるようです。
ゲゲゲの鬼太郎でねずみ男が
ケンカはよせ、腹が減るぞ
って言ってたのを思い出した。
なぜ泣けるのか
これは簡単で歳をとったからですね。
過去の自分を思い出したり、死が身近に少しずつ迫ってくるから、時間には逆らえず美化したり悔やんだり。
映画では不可逆な時間軸を飛び越える擬似体験ができるのですが、ファンタジー故に危うさもあります。
アベさんはもうこの世にはいません。
過去のダサい自分(今も?)も遥か昔。
ファンタジーで帰結しなかった親子の話。
自分の命で人間を守るジャングルの王。
もう戻れないから悲しくなる。
もう会えないから切なくなる。
多分そおゆうこと。
まとめ
世界が終わりませんように