帝都物語の話

渋沢栄一がお札になるのでこの話を。
映画の帝都物語が好きです。
実相寺昭雄監督。
ウルトラマンとか撮った方ですね。
特撮と呼ばれるメソッドで作られた映画です。
特撮と聞いただけで心踊るのは、昭和の男子なら健全な反応です。
特撮
冒頭の地鎮祭のセットがいい雰囲気です。
低く立ち込めた暗雲が、これからおこる物語を予見させます。
今のCGが多用された映画と違い、模型やセットには独特の味わいがあります。
照明もこの映画は独特で、面白い効果が出ています。演者の目元だけ光をあてたり、神社の格子窓から差し込む陽光がスモークで強調されたり。
後述の護法童子が割れて回転刃が起動するところで、辰宮恵子の顔に刃の光が映るシーンは、美しいですね。
最近では、エヴァQの、“巨神兵東京に現る”が特撮ですね。CGも使われてますが。

加藤保憲
嶋田久作さんの顔がすごい。
豪華出演陣の中で当時、新人なのに存在感負けてない。
最近は、人のいいコンビニの店長とか会社の幹部とかの役が多いですね。ダークな役を演じる嶋田さんを、また見たいです。
実相寺監督の”屋根裏の散歩者” D坂の殺人事件”の、明智小五郎役も良かった。
この作品も1ネタ書けそうなんだけど、またにします。(小林少年がくそやばい)
明智小五郎と言えば最近、満島ひかりさんがキュートな名探偵を演じてました。高橋葉介先生の夢幻紳士みたいで、グッときました。

歴史上の人物が、登場するこの映画。
キャスティングが絶妙です。
渋沢栄一は、勝新太郎さんが演じてます。渋い!
地震で壊れた東京の模型の前で、葉巻を吸いながら小唄を歌うシーンが印象的です。
幸田露伴役の高橋幸治さんも、渋い。
この物語(映画)の最初から顛末まで見届ける人物。
ラスト、渋沢翁とビルの屋上から東京の街を眺め、邂逅するシーンがいいですね。
泉鏡花役、坂東玉三郎さんがやばい。
ただの辻占いの役なんですが、妖艶なオーラが漂ってます。
目方恵子役、原田美枝子さん。美しい。
巫女姿もいいし、着物がとてもお似合いです。
廃寺での戦闘シーンで髪が解けるとこがいいんですよね。
黒田茂丸役 桂三枝さん(現、桂文枝)は、さすが落語家といったお芝居。東京を守ろうと奮闘する風水師の好演が、光ります。
風水って言葉も当時めずらしかったですね。
學天則の話
博覧会でパフォーマンスをするロボット。
地下鉄工事を妨害する式神を、殲滅するため改造されます。
ケーブルを引きちぎられても任務を遂行しようとする、心優しき人造人間。最後は、自爆装置で式神もろとも爆散してしまいます。
魔術を駆使する加藤に対し、科学の英知であるロボットが騒動の終止符を打つ重要な役割を担うのは、人間讃歌でもあります。
古い魔道書を燃やす平井も、東京を怨霊から解き放つのは、生者。
つまり、太古の魔術(劇中では、陰陽道、蠱毒)などではなく現代を生きる人間なのだと確信していたのではないでしょうか。
有名な話ですが、學天則の開発者西村真琴博士役は、その孫にあたる西村晃さんが演じています。
昔は、悪役が多かったですが、この頃から好々爺を、演じることが増えましたね。
H・R・ギーガー
この映画、美術が本当に素晴らしい。
町なみのセット。特殊メイク。式神のデザイン。
超一流の仕事です。
式神は、関節が内蔵されたギニョールでコマドリで動きます。ハリー・ハウゼンとかのやつ。
加藤の力の影響で動きだす阿修羅像もそうですね。
スターウォーズのヨーダも、帝国の逆襲のマペットのやつが好きです。CGも素晴らしいけど、まだ実物の魅力には及ばない気がします。
終盤で登場する、護法童子なるアイテム。
加藤が使う魔法兵器といったところでしょうか?
ギーガーのデザインです。
仏像か土偶のような外観。
手のひらにのる大きさから人間大に巨大化します。
正中から割れて、中から回転する刀が飛び出します。
ギーガー特有の、有機物と無機物が融合したキモいデザイン(←褒めてます)
好きなんですよね。こいつ。
竹谷隆之先生とか絶対好きなはず。
特撮リボルテックでおなしゃす。

当時、東京にギーガーズ バーなんてありましたね。
もうないんだろうな。
帝都物語
荒俣宏先生の原作は、読んでないよ。
“読んでねえのかよ。この不届き者が!”
はい。その通りです。
一巻は、読んだんですよ。途中まで。
だって、映画のテンポのいい展開で補完してしまってて、少しインターバルを置いてから読もうと思って現在に至ります。ごめんなさい。
荒俣先生は、歴史上の人物をキャラクターとし登場させています。史実では、ありえないコラボもあって、楽しい。
リーグオブレジェンドもそうですね。
こちらは、創作キャラクターの共演です。手塚漫画のスターシステムに、似ています。
ヒゲオヤジやブラックジャックが他の漫画にもでるでしょ。あれ。マリンエクスプレスが最高!レオもでてきます。
ひいきのキャラクターが出てくると、”よっ!まってました!”ってなります。リメイクが作られたら、特撮でやってほしい。
樋口真嗣監督とかどうでしょうか?
目方恵子役には、満島ひかりさんを、推します!
加藤役は、三たび?嶋田久作さんを是非!
帝都物語は、原作でのキャスティング(歴史上の人物)と、映画でのキャスティング(役者さん)が、上手く機能して、傑作になったと思います。
まとめ
シンウルトラマン頼むよ。m(_ _)m