シン・ウルトラマン の話

シン・ウルトラマン の話

シン・ウルトラマン公開されました。まだ未見の方も多いと思いますのでネタバレは極力控えてシン・ウルトラマンに纏わる怪獣と山田芳裕先生の話。

地底怪獣

文字通り地底から現れる怪獣。ゴジラは海からやってきましたがこれは大平洋戦争の記憶。

高度成長期は都市開発で山を切り開いてとにかく穴を掘ってた時代。地底怪獣はショベルカーやダンプカーのイメージもあったのでしょうか?

地底怪獣のライフサイクルは謎ですが比較的粘土質を多く含む柔らかいローム層を移動してるので関東地方の丘陵地帯によく現れるのかもしれない。

ガボラ

ウラン怪獣とあります。昭和のパゴス ネロンガ ガボラはバラゴンの着ぐるみを改造したものでシンでは地底怪獣の系譜として語られるのが面白い。 

昭和ガボラは地中潜行形態が好き。ストレンジなデザインがコーンを展開すると表情がガラッと変わります。(コーン内部は赤)

シンのガボラは予告編でも露出しているのでご覧になられた人も多いと思います。 

頭部のコーンは完全にドリルとして機能し根元付近では逆回転してトルクを相殺しているデザインになってます。

動物界で連続した回転運動ができる骨格をもつ生物はいない(はず)ですが昭和ガボラの爬虫類然としたデザインからアイデアを発展させた今回のガボラは超生物として最新の怪獣デザインだと思いました。

ドリル問題

ドリルは男のロマン。ジェットモグラやゲッタードリル、轟天号にグレンラガン。

何をか言わんや男なら穴を掘るのに理由なんかありません。柳田理科雄先生の空想科学読本でアニメや特撮に登場するドリルメカが科学的に考察されていました。

ドリルの回転が一方向だけの場合岩盤に突き刺さった瞬間

本体側が回転

するそうです。先程触れたようにガボラはその自重と一部逆回転する器官でトルクを相殺するのでしょう。

怪獣が地底から出現するのが多いのは脚本とセットのコストからだったと思います。(地中 海 湖底 宇宙だいたいこの三つ)

日本の山間部の遠景はどの県に住んでいても馴染みのある風景。怪獣が土砂を撒き散らして現れるシーンは画になります。

ベムラー

ウルトラ作戦第1号の記念すべき怪獣。宇宙怪獣。シンには登場しませんでした。 

恐竜然としたデザイン(当時の恐竜の復元図)。ウルトラマンが護送中に逃亡。青い光球で地球に飛来。

第1話でウルトラマンの役割が宇宙の警察官のようなものであると説明されます。

ベムラー自体のパーソナリティは描かれなかったけど宇宙からの脅威(第2話”侵略者を撃て”でさらに強調)とウルトラマン(光の国)の善悪の定義が第1話で表現されていて戦後の日本やベトナム戦争とイメージが重なっていきます。

ウルトラ伴

ウルトラマンのコミカライズでかなりマイナー(読切作品)ですがご存知ですか?

山田芳裕先生の短編集”泣く男”に収録。まずこの短編集が素晴らしいので他の作品についてはちゃんと項をさいて語りたいのでまたの機会に紹介したい。

さて”ウルトラ伴”なる山田版ウルトラマン。ボディビルが日課の大学生にウルトラマン”イオタ”が憑依。騒動に巻き込まれるといった内容。

イオタと同僚のウルトラ人”ストラトス”によれば4次元にある”私の星”から10人の犯罪者(宇宙人)が逃亡しその始末に送り込まれたのが自分と伴に憑依した”イオタ”であると語られます。(伴自身実感はない)

山田芳裕先生は第二次怪獣ブームの洗礼を受けておられるはずで”ウルトラ伴”の着想が先述の”ウルトラ作戦第1号”と最終話”さらばウルトラマン”にあるのは間違いないでしょう。

ギャグタッチの作品ですがウルトラマンの本質を正確に描いています。

それはウルトラマンが神ではなく社会性のある個として扱われていることとストラトス語る”私の星”(光の国)の在り方。

ウルトラ伴に登場するダダ星人(風)がこう言います。

むこうでは一級犯罪の虚言行為がこの星では日常茶飯事とは(故に犯罪者に都合が良い)。

光の国の正義は時に人間にも試されシンではさらに突き付けられることになります。

山田芳裕先生の筆で描かれたウルトラマンは他のコミカライズがホラーよりになってしまいがちなのに対し実写ウルトラマンの明るい雰囲気が出ていて楽しい。

ダダ星人(風)の敗北に残り9人の宇宙人がキュピーンってなったり(連載なんかしないのに)。イオタがマザコンだったり。

山田芳裕漫画としてもちゃんと読めるこの作品。バブル期のキャンパスライフや見開きで落とすカタルシス。読んでみてほしい。

光の国から

シン・ウルトラマン未見の方。僕みたいなオタクは間違いなく楽しめる映画です。

劇中語られるメタバースという概念は昨今の映像エンタメの世界ではキーになってきました。

キラーコンテンツのリバイバルでのオールドファンの不満や怒りはもっともなことですが日本一のウルトラオタクの庵野秀明監修で間違いないし僕には肌に合っていて楽しめました。

実は上映されて早い段階で涙腺が緩むことがあったのですが自己分析してみた。(僕だけじゃないはず)

つまるところ

がんばれウルトラマン

ということです。それだけウルトラマンが好きなのを再認識したのでした。

まとめ

βカプセルのレプリカ欲しいっす。