ゴジラ-1.0

ゴジラ-1.0

ゴジラ-1.0観てきました。ゴジラ好きからの不評もちらほら耳にしますが概ね評判は良いようです。怪獣ブームきてる?

ゴジラ-1.0感想

100点の映画です。親子で観に行っても恋人と観に行っても有意義な時間を過ごせるでしょう。ちゃんとゴジラ映画のフォーマットに則り観る前にウォーミングアップを必要としないエンターテイメントになっています。

ではゴジラ好きの目にはどう写ったのか?CGのゴジラのデザインの好き嫌いや戦後の舞台背景の是非 シン・ゴジラとの比較など不満はそんなとこでしょうか?

僕個人は特にストレスを感じることもなく楽しめた映画でした。おしまい。

ただ第二次怪獣ブームの洗礼を受けたわたくし、ゴジラにも一家言あるので妄想を交え今回のゴジラを考察してみます。

怪獣映画 (注!ここからネタバレを含みます)

メガホンをとったのは”三丁目の夕陽 ALWAYS”の山崎貴監督。

昭和の街並みのCGを得意としていたこととシン・ゴジラとの差別化、ゴジラシリーズのリブートの意味合いから新しいゴジラの舞台が戦後復興まもない時代に選ばれたのだと思います。

このことは怪獣映画の中では珍しいことで怪獣の巨大さを見せるにあたりマイナスにはたらく場合もあります。(第1作目は当時の風景。リアリティのあるアトラクションムービーの元祖とも言えます)

昭和の街並みは、もはや既視感のない異国のファンタジーとも映りかねず建物と怪獣の対比が現代劇より実感が得難い。

-1.0でそのあたりはゴジラが電車を咥えるシーンや破壊された服部時計店ビルなどで初代ゴジラリスペクトとともに巨大さを演出しています。

焼け野原の風景は少し綺麗すぎる印象を受けました。残酷なシーンはスポイルされていて今日の戦後や戦争を描くときのマナーであると良くも悪くも感じました。

ゴジラのデザイン

シン・ゴジラが初ゴジのオマージュと新しいアイデアの実験であったのに対して-1.0のゴジラは平成ゴジラシリーズの系譜にあたるデザインでした。

ゴジラSPのデザインを見た後だともうちょっと変化球できても良かったかな。

背鰭のギミックは熱線放射による強大なエネルギー放出のための発射シークエンスでシン・ゴジラと同じく連射はできないようです。

大戸島初出でのゴジラは被爆前で完全に恐竜として描かれています。主人公敷島の乗る零戦が故障を装い着陸する補給基地。

ゴジラ誕生に関わるシーン(この時点では呉爾羅と呼ばれるUMA)。リブートの意味からもっと深掘りして欲しかったところですが尺と予算の関係もあります。

日本兵とUMAに纏わる実話がアイデアであったのかも。(“世界のUMA”で紹介したい)。滝沢聖峰の漫画、”神々の糧”(最高のSF)のように敷島が来る前から大戸島に駐屯する日本兵たちは巨大生物と戦っていた、もしくは生物の巨大化(本土の食糧難対策のため)を研究していたとか。元々旧日本軍は大戸島の巨大生物 呉爾羅 の存在を早くに察知していて軍事利用を目論んでいた。などなど。(クモンガやカマキラスが出てきても面白いかも)

敷島の行動原理も元特攻隊であること、大戸島の惨劇、整備兵 橘との確執と少し複雑になっていくのですが零戦乗りじゃないといけない理由があります。それは後述に。

震電

今回一番盛り上がっているのは艦船マニアの人たちではないでしょうか。高雄、雪風、夕風が精密なCGで蘇ります。残念ながら艦船は守備範囲外。すみません。

モデグラに連載された宮崎駿の雑草ノート。戦時下 過酷な状況の中の右往左往が正気を失わなかった人たちの目線でオールカラーの漫画として描かれます。

その中の1エピソード”最貧前線”。太平洋戦争末期 徴用される漁船とその乗組員。ゴジラ-1.0で機雷除去に使われる新生丸も木造の漁船(磁気機雷に反応しないためと劇中かたらています)。

“最貧前線”は名エピソード。反跳爆弾を全て躱す吉祥丸の強運。(ノンフィクションです)

閑話休題。

山崎貴監督がどこまで意識していたかわかりませんが、自沈処分される運命だった高雄や雪風が再び活躍するIFの歴史のシンギュラリティポイントはやはりビキニ環礁の水爆実験だったと言えるでしょう。

震電はプッシャー式の局地戦闘機。高高度を飛来する爆撃機の要撃、零戦を上回る高速戦闘機として開発が進められた戦闘機。

アニメやSFで人気のプッシャー式戦闘機。スターウォーズのXウイングもシルエットは複葉機が前後逆になっただけ。

震電が量産の暁には

などと妄想。中二病の大好きなカッコいい飛行機なのです。ゴジラ-1.0では都合よく生き残っていた震電。動態保存ではなく完全に忘れ去られて埃を被っていました。

ここで主人公敷島と整備兵橘の運命が再び交差します。零戦を前後逆にしたような震電が特攻で死に切れなかった敷島の止まっていた時間を動かす仕掛けになっています。

敷島が零戦乗りでないといけない理由は短時間でピーキーな試作戦闘機を操縦しなければならなかったため(映画を見る限りぶっつけ本番で飛ばしています)。

震電のレストアはほとんど描かれてなかったのは残念。このへんはセリフでも補完できたので例えば橘にもっと震電の特性について語らせても良かったかなと思いました。

美女と怪獣映画

この映画の見どころを大雑把にまとめると

1. CGで描かれるゴジラ(特に海上でのシーン)

2.破壊される銀座

3.高雄 雪風 震電(メカニック)

4.浜辺美波

です。ゴジラが銀座を破壊するシーンで爆風から主人公をかばっての浜辺美波演ずる典子の献身。

モヤモヤ派の意見もわからんでもないですが敷島の動機付けにここで典子は舞台から一旦降りる必要があります。

怪獣映画には美女がつきもの。東宝シンデレラガールの浜辺さんは満を持してのキャスティング。(先に仮面ライダーに出演してるのがなんとも)

平成ゴジラシリーズのオマージュになっているところでG細胞を想起させるシーンがいくつかあります。

ラスト病院で再開する敷島と典子。首筋の黒いアザ、ゴジラの細胞に侵されてることを示唆していて不安がよぎります。

人間よりはるかに再生能力の高い未知の細胞に侵された(故に生還できた)典子は果たして元の典子と同一と言い切れるでしょうか?

正当な続編があればこの辺がキーになってきそうです。初代東宝シンデレラガールの沢口靖子出演のゴジラVSビオランテにも繋がっていきそうな予感。CGで描かれたビオランテはスゴイことになるぞ。

美波さんにはこれからも怪獣映画に出て令和の水野久美みたいになって欲しい。

これからの怪獣映画

シン・ウルトラマン ゴジラSP ガメラREBIRTHと怪獣ブーム来てるんじゃないですか?

ハリウッドより予算の少ない日本映画で当たる怪獣映画を撮るにはまず今の流れを止めないことですね。ただマーベルみたいに食傷気味になって失速することもあります。

シンシリーズは上手いやり方です(続編ではなく毎回違う作品のリメイク)。ゴジラでは毎回、昭和 平成の特定の作品のリメイクにするというのはどうでしょうか?

僕が観てみたいのは怪獣総進撃とゴジラVSビオランテのリメイク。あとフランケンシュタイン対地底怪獣も観てみたい。

怪獣たちの体長を小さくしても面白いでしょう。フランケンシュタインに出てくる公団アパートの風景もまだいっぱい残っています。

ゴジラ-1.0の昭和の風景は素晴らしかったです。願わくば同じチームで高度成長期(70年代)の昭和も描いて欲しいと思いました。

まとめ

子役の女の子も可愛いかったです。