わが青春のアルカディア号

わが青春のアルカディア号

先日”銀河鉄道999″(劇場版)をうっかり観てしまいました。

同作品に登場するキャプテンハーロック。男の中の男です。999やアルカディア号の話。

宇宙海賊キャプテンハーロック

テレビシリーズ好きでした。第1話は東映チャンネルで観れます。

この第1話が物語の導入部として良く出来ています。西暦2977、堕落した政治家たち、麻酔コンテンツで骨抜きにされた人々。退廃した地球が描かれます。これ今の世の中ですね。

親友の忘れ形見 まゆの誕生日に乗組員の制止も聞き入れず単身地球に向かうハーロック。

この歳で見返してみると脚本が大人向けだったなあと感じます。TVシリーズではまゆの父トチローの生前の姿は出てきません。

ハーロックの乗艦アルカディア号のメインコンピュータに宿る魂がトチロー。

ハーロックが巨大なコンピュータの前でさかずきを交わすシーンがその後描かれています。

まゆと再会を果たすも指名手配のハーロックは地球政府に捕らえられあわや銃殺刑に。

ピンチに飛来するアルカディア号。まんまと逃亡するハーロック。

ヒキで地球に接近する謎の黒い球体。まゆの父親とハーロックの関係。迫り来る地球の危機。謎も残しつつハーロックがどんな人間かわかる第1話。完璧です。

アルカディア号(TV版)

続編では何隻か存在するらしいです。ここではTVシリーズと劇場版999についての言及。ただ同型艦や姉妹艦って燃えるので後述で。

TV版はラフが松本零士先生でクリンナップが宮武一貴先生。アニメーションでの作画を意識して艦首と艦尾に目がいくデザインになっていて、全体的には意外とシンプル。

キャビンのデザインは松本先生が描かれたそうです。アルカディア号のアイデンティティになっていますね。

TV版ではブルー主体のカラーですが、ハセガワのブルーグレーのものもなかなかカッコいい。紡錘型のメインエンジンの赤がいいアクセントになっています。 

デスシャドウ号

ハーロックがアルカディア号以前に乗っていた宇宙戦艦。

999の劇場版で惑星ヘビーメルダーの砂漠に擱座しているのがそれ。トチローが鉄朗の手を借りてアルカディア号に自分の魂を転送する重要なシーン。

TVシリーズの補完を999でやってて時系列は逆になっています。さらに前日譚として映画版アルカディア号の活躍する”無限軌道SSX”が制作されます。

整理すると

無限軌道SSX→999→旧TVシリーズとなります。ハーロックサーガを語るうえ基本中の基本です。

このあたりの統合性を図った漫画、”次元航海 キャプテンハーロック”もあります。(未読)

デスシャドウ号も衝角をもち海賊戦法を意識したデザインになっていますが艦首意外は地味なデザインで既存の宇宙戦艦をトチローが改造したものではなかろうかと妄想。 

アルカディア号(劇場版)

999のクライマックスで惑星メーテルに降下しての戦闘がシナリオで決まっていたので大スクリーンに映えるよう艦首に巨大なドクロのレリーフが施されました。アルカディア号は以降このデザインがデフォルトになります。

艦首は丸みを帯びマッコウクジラのようなアウトラインに。エアインテーク状のパーツは艦尾に移設され主砲も三門に増設。

マッコウスタイルの宇宙船のデザインはマクロスのブリタイ艦やクラッシャーJOEのコルドバに引き継がれていきます。

鉄朗にかすり傷ひとつつけるな。無事に地球に帰すのだ。

甲板上で舵輪を握るハーロック。

クイーンエメラルダスが999の停車しているゲートを守ってくれています。 

板橋克己

松本零士先生の元アシスタントの方でヤマトや999のメカデザインで参加。アルカディア号のデザインにも関わっています。

アルカディア号三番艦が氏の手によりデザインされています。バージョン違いとゆうより最新のデザインとして描かれていてこれもカッコいい。

艦首後端のエッジをまたいだツライチの面構成は宮武先生さすがだと思うのですが、

模型を手にしたときに新規で書き下ろされた艦首部分と本体との繋がりがすこし脆弱に見える。(個人の意見デス)

板橋版は完全に潜水艦として描かれていてボリュームが増しかつ艦首から艦尾への流れが途絶えないデザインになっています。

メインエンジンのスラスターのディテールはなくなりドロップタンクのように密閉された構造物になっています。

これは推進剤の噴射に頼っていない遠未来のテクノロジーを表現しています。設定には次元流動体動力エンジンとありますね。

アルカディア号三番艦

近作の漫画やアニメの設定ではアルカディア号が複数建造されています。原作でのデスシャドウ号の描写と劇場版のデザイン改変でちょっと混乱。ここからは俺アルカディア号設定を妄想。

ネームシップ(一番艦)は時系列的にみてドクロ艦首の劇場版のものとしたい。TV版の青いやつも同一の船だったとし脳内で補正。ただドクロ艦首と青いアルカディア号が同じ世界線に存在する設定も捨てがたい。

青い方をデスシャドウ号ニ番艦とする設定もあるようですしアルカディア級二番艦デスシャドウ二世としてもいいかも。(ちょっとややこしいか)

三番艦はハセガワのプラモでは強行型とありカラーリングもガンメタルに。三連装パルサーカノンも4門に増設。

一番艦の改装ではないので独立した艦として存在するようです。(近作をみてないのて憶測でゴメンナサイ)

勝手に三番艦をもっと強くしてみた。名付けてアルカディア級三番艦ワルキューレ。エンジン上部の意匠はヤマト2199のデウスーラ二世から拝借。

九番艦までの存在が示唆されています。なんぼほどつくんねん。 

ハーロックは何と戦っているのか?

松本作品のヤマトやハーロックは言わば太平洋戦争の続きをやっていて敵対勢力はわかりやすい軍事独裁国家として表現されます。

機械帝国はテクノロジーの及ぼす人類の弱体化を暗示。ドクロの旗印は人間の証しの意味も。

TVシリーズのマゾーンは植物由来のヒューマノイド。知性をもち(脳はない)コミニュケーションも可能。

マゾーンの侵略行為は外来種の植物の繁盛を連想させます。小沢さとる原作の青の6号OVA版のミューティオたちもマゾーンに似ていて松本零士作品との共通点も多く興味深い。

人間の倫理観の通用しない植物由来の生物が美しい女性の姿なのは皮肉。

太平洋戦争の続きというもの言いは大袈裟に聞こえますが全体主義ではなく単騎で敵に挑んでいくハーロックの行動原理は自由のためだけで政治的バックボーンはありません。

自由を貫き通す最強の剣。それが男の船アルカディア号なのです。

まとめ

キュートンの999ネタ好き。