フォレストガンプを語る

“Life is like a box of chocolates. You never know what you’re gonna get until you open it up.”
「人生はチョコレートの箱のようなもの。 開けてみるまで中身はわからない。」
言わずと知れた名作映画「フォレスト・ガンプ」の名言です。
今回はこのフォレスト・ガンプについて勝手に語ってみます。
とは言っても、良いところなんてググればいくらでも見つかるので、捻くれた目線から語ってみようと思います。
※あくまで個人の感想です。ネタバレ含みます。
ストーリー
ストーリーは大きく分けて、
- 幼少期・学生時代
- 軍隊時代
- 卓球選手時代
- エビ漁時代
- ジェニーとの再開
- 現代
の六つに分かれて構成されています。
幼少期・学生時代
物語はバスを待つガンプがベンチに座って隣人に人生を語るところからスタートします。
幼少期、ガンプ君はイジメられています。
なぜかって、他の子より知能指数が低いうえに背骨が悪くてまともに歩けないから。
子供って、自分と違う身体的特徴を持つ人や、環境の違う人がいるとイジメの対象にしがちですよね。(あっ大人も対して変わらないか。)
でもガンプ君がこの動かしづらい足で踊った動きを見た売れないミュージシャンが実は若かりし頃のエルヴィス・プレスリーで、その動きをヒントにあの特徴的なダンスパフォーマンスで大スターになっているってシーンがあります。
フォレスト・ガンプはこのような実はあの時みたいな描写がいっぱいあります。
それでもお母さんはガンプ君を普通の子供と同じように育てるために、校長と寝て相談をして、普通の学校に入れてもらいます。
ガンプ君が初めて学校に行くシーンでバスに乗るのですが、この運転手のおばちゃんが良い場末感味を出しています。
そういえば登校バスのシーンって海外映画ではよく見るけど、日本だと珍しいですよね。
ジェニーとの出会い
このバスで会うのがジェニーちゃん。
ジェニーちゃんだけはガンプ君を他の子と同じように、もしくはそれ以上の存在として扱ってくれる天使のような子なんですが、家庭環境は最悪で父親から性的虐待を受けていたりする可哀想な子。
とあるシーンでいつものようにガンプ君がイジメられているのですが、ここでジェニーちゃんが放った「フォレスト走って」って言葉が、一つこの映画のキーとなります。
これにより無我夢中に走ったガンプ君はなぜか拘束具が解け、ランニング暴走モードになりまともに歩けるようになります。
そのあと色々あってガンプ君は父親からジェニーちゃんを救ったりして、二人の絆はより深い物になっていきます。
しかし、残念なことにジェニーちゃんが天使なのはここまでです。
その後学生時代になってもイジメられているガンプ君ですが、車で追いかけられている最中にまたまたランニング暴走モードになり、たまたまラグビーの試合に乱入しちゃって監督に見出されて、あれよあれよと全米代表選手になったりします。
ついでに、この頃のジェニーは他に男作ってエンジョイしています。
軍隊時代
ベトナム戦争時代、とくにすることもなかったガンプ君は卒業後にスカウトされるがままに軍隊に入隊します。
バッバとの出会い
二度目のバスでの出会いとなるのがバッバことベンジャミン・ブルー。
このバッバが本当に良いキャラで、SF映画になんかに出ていたら真っ先に殺されたと思っていたらなんか最後まで生き残ってた的な黒人キャラです。
バッバが常に語っているのが、「家族は代々エビ漁とエビ料理で生計を立てていて、自身も軍隊生活で得た資金でエビ漁師になる事を夢見ている」ということ。
はい、フラグです。「俺、この戦争で生きて帰ったらエビ漁やるんだ」ってやつです。
ガンプは命令だけを聞いていればいい生活が性格にあっていたようで、訓練中は言われたことを全く文句も言わず素直に実行するので非常に優秀な兵士に成長していきます。
ダン・テイラー中尉との出会い
訓練終了後にベトナムに出征することとなったガンプ君。バッバも一緒です。
ここで配属された小隊の隊長がダン・テイラー中尉。
半裸で葉巻加えて登場するこの中尉がなんだか妙にカッコいい。
ベトナム出征中はいつも雨が降っていて、そんな中でもバッバはいつも「俺、この戦争で生きて帰ったらエビ漁やるんだ」ってフラグを立てています。
関係ないけど常に雨が降っているシーンというと、伊坂幸太郎の「死神の精度」って小説を思い出します。
俺が仕事をすると、いつも降るんだ。
伊坂幸太郎 死神の精度より
伊坂幸太郎先生の話はまたいつかするとして、話を戻してやっと雨が止んだと思ったら、ダン・テイラー中尉率いる小隊は敵の待ち伏せにあってしまいます。
ここで小隊が壊滅状態になるのですが、ジェニーの「フォレスト、走って」という覚醒の言葉が頭によぎり、ガンプは第三のランニング暴走モード(ここでは暴走はしていないけど)に入り次々に仲間の元に走り助けていきます。
しかし、残念ながら案の定バッバはここで息を引き取ってしまいます。
ついでに、この頃のジェニーは「あたし音楽で食べていくんだ」って夢を追いながらストリップ劇場で裸ギターしています。でもどんな姿でも夢を諦めない姿は素敵。
卓球選手時代
お尻に被弾をしてしまったガンプは両脚を失ってしまったダン中尉と一緒に軍病院で手当てを受けます。
隣に大好きなダン中尉が居て無邪気に喜ぶガンプとは対照的に、兵士の誇りを保ったまま戦場で散りたかったダン中尉は、自分を惨めな姿で生かしてしまったガンプに怒っています。
そんなこんなで療養中にたまたま遊んだ卓球にハマってあれよあれよと卓球全米チームに選ばれるほどの才能を開花させて、ジョンレノンと一緒にテレビに出たりして、たまたま宿泊したホテルからウォーターゲート事件を目撃したりするガンプ。
その頃のダン中尉は荒れに荒れ酒に入り浸った生活をしていますが、ガンプを中傷したお姉ちゃんに激怒するなど、ガンプを憎んでいても嫌いになれない姿が描写されています。
ついでに、この頃のジェニーは他に男作ってヒッピーになっています。
またまた関係ないけど、ヒッピーって聞くと、不可思議/wonderboyのPelliculeって曲を思い出します。
若くして事故でこの世を去ってしまった人。
ポエムのようなラップが好きでした。
Nujabesといい、才能のある人が事故で亡くなるのは悲しい。
エビ漁時代
軍隊を除隊したガンプは親友バッバとの夢を叶えるため会社を設立してエビ漁を始めます。船の名前はジェニー号、なぜなら世界で一番美しい名前だから(健気)
なかなかうまくいかないエビ漁ですが、ここでダン中尉が合流。なんだかもうパイレーツオブカリビアンのジャック・スパロウ船長のような風貌でヒャッハーと酒を飲みながら漁を続けますが、やはりうまくいかない。
そんななか大きなハリケーンが発生して、たまたま沖に出ていたジェニー号は無事で、港に停まっていた他の船が全滅。
その後はエビ独占状態で大漁に大漁。ガンプの設立した会社「バッバ・ガンプ・シュリンプ」は大きな会社へと成長します。
そこでまたたまたまダン中尉になんか果物の会社があるよって教えた会社がアップルコンピューター(現アップル)。
ダン中尉はエビ漁で得た資金をアップルに投資したので二人は大金持ちになります。
ついでに、この頃のジェニーはなんか堕落していて男とホテルに行って惨めさに自殺しそうになって踏み止まったりしています。
ジェニーとの再開
エビ漁も絶好調で成功しまくりのガンプでしたが、急な母親の危篤を受けて家に走って帰ります。
この映画はガンプの走るシーンが一つ物語の移り変わりを象徴しているような気がします。
その後残念なことに母親が亡くなってしまい、家で孤独な生活をしているところに計ったように奴が現れます。
そう、ジェニーです。
今までの姿とは打って変わって純粋さを取り戻したような姿で現れます。
それはもうガンプは大喜び。フラレにフラれても一途に思い続けていたジェニーが目の前にいて、人生で一番幸せな時間を過ごします。
が、ジェニーは去ってしまいます。
なんなんだこいつは。
一途に思ってくれていたガンプを利用して幸せを感じていると、自分に対して罪悪感を覚えてしまったのかよく知りませんが、突然消えます。
そしてガンプは第四のランニング暴走モード。
今度はジェニーのくれたナイキのスニーカーがあるのでもう止まらない。
アメリカを南往復もするぐらい何年もとにかく走り続けて走り続けるうちになんか神格化されていき、宗教のように信者が一緒に付いて走るようになります。
そんな中たまたまなんかTシャツのデザインに悩んでいた人からアイデアくれって頼まれたガンプが、Tシャツで顔を拭いてできたデザインがスマイリーフェィスになって大ヒットしています。
これも実はあの時っていう中の一つで、遊び心があってとても面白いです。
現代
そんなガンプをメディアが取り上げたときに、たまたまそれを見ていた奴が動きます。
そう、ジェニーです。
疲れちゃったので走るのをやめて家に帰ったガンプにジェニーからの手紙が届きます。
そしてここから話はバス停で語る現代に戻り、手紙の場所ならバスで行かなくても近いわよって教わったガンプがまたまた走ってジェニーのところに行き、二人は再開します。
しかし、そこには見知らぬ男の子が。
そこで、ジェニーが「あなたの子よ、名前はフォレスト」とか言い出します。
しかも、自分が病気で長くないことを打ち明けて、がっつりホールドかましてきます。
そして二人は結婚。結婚式に謎のアジア系妻と一緒に現れるダン中尉。
見た目がジャック船長ではなくなり、両脚も義足をつけてすっかり成功者の風貌になっています。やはりダン中尉はカッコいい。
その後ガンプの必死の看病も敵わず、ジェニーが亡くなってしまいます。
とても悲しむガンプですが、フォレスト君と一緒に生きていく。というお話。
最後にフォレスト君が登校するとき、あのバスのおばちゃんが出てきます。
過去にガンプ君と交わしたようなやり取りをフォレスト君として、ちょっとニヤっとするおばちゃんがカッコいいです。
感想
とても良い映画、とても良い映画なんですが、どうしてもジェニーの存在が気になります。
だってちょっと都合良すぎません?
辛い過去があったとしても、なんだかなーと思ってしまいます。
なので、個人的には最後はバス停から走り出すシーンで終わった方がスッキリした気がします。
だってこの映画で語られているガンプの過去は、ガンプが語っているだけのもので実際のところは本当の話ではなくガンプの創作とも考えられます。
途中雑誌の表紙にガンプが載っていたりして信憑性が増していますし、本当の話なんだろうなと思わせる描写もありますが、そんな上手いこといかないでしょっていうような、どこか創り話のような、そんな曖昧さが素敵だと思うんです。
なのに現代編でガッツリ現実を突きつけられたような、チョコレート箱開けちゃって中身を見せられたじゃんって感じになります。
まぁそんな捻くれた目線で見ても見なくても、フォレスト・ガンプはとても面白い映画です。
まとめ
ジェニーはクソビッチだけどフォレスト・ガンプは名作映画。
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