クーラシェイカーのこと2

クーラシェイカーのこと2

クーラシェイカー6年ぶり6枚目のアルバム。1st・コングリゲーショナルチャーチ・オブ・エターナルラヴ・アンド・フリーハグス。

みなさんもうお聴きになられたでしょうか。ブリットポップ直撃だった人たちはちょっとしたお祭り気分。

今作のイメージもあってアルバムの発表は雲の切れ間から差し込む陽光のように久々に胸のすくニュースでした。

前回に続いて待望のニューアルバムの感想やラーガロックのはなし。

クーラシェイカーの帰還

今作、アートワークが素晴らしい。象さんたちの上に立つ大天使ミカエル。インドのシバ神のようでもあり後光はラウンデル。

スピットファイヤも飛んでます。アメリカ南北戦争の兵士。イングランド国旗の凧はベンジャミン・フランクリンの雷の実験も連想させます。

このアートワークはクーラシェイカーのすべてを表していて彼らの旅路にも思いを巡らすことができますがそれは後述に。

ライナーには曲ごとにクリスピアンの解説がついてくるのでダウンロードでもいいけどCDでの購入をお勧めします。

イントロで流れる教会での神父様のありがたいお説教。クリスピアンの解説ではこの集会に集まったそれぞれの人たちを曲が表しているとのこと。

悪魔め 今宵 おまえの出る幕はない!

神父様の言葉に続きドカーと鳴り響くギターリフ。ブーミーなファズサウンド。クーラシェイカーが帰ってきました。

Whatever It Is (Im Against It)

クーラシェイカーの帰還はロックンロールの帰還でもあります。(ここ数年また死んでた)

カウンターの一発目として最高の曲です。往年の名曲のフレーズが散りばめられこの曲にパワーを与えています。

これは勝手なタイトルの和訳ですが

だが断る

ですね。それにしてもクリスピアン歌もギターも衰えてないです。ファズギターのちょっとラフなソロがめちゃくちゃカッコいい。

ポール・ウィンターハットのドラムがあってのことですが長い付き合いで息もピッタリです。

長々しいアルバムタイトルと宗教画のようなジャケットでミスリードされますが(古参のファンにはクリスピアンのいつもの手だとすぐわかります)神も悪魔も蹴っ飛ばすこの曲がこの時代に鳴り響くのは痛快。

Hometown

ゾンビ映画みたいな世の中に本当になるなんて誰が予測できたでしょうか。てゆうか早い段階で世界はゾンビ禍で具体例は出さないけど時代ごとに呼び方が変わっただけ。

この曲についてライナーでは映画”ショーンオブザデッド”についても述べておられます。

明るい曲調なんですがどこか狂気をはらんでいます。”ショーンオブザデッド”の冒頭で主人公が毎朝のルーチンでスーパーに買い物に行くシーンを思い出した。

ゾンビ禍だろうがなんだろうが家族や友人達への思いは変わらないし変えちゃいけない。ゾンビ禍だろうと歌ってもいいし踊ってもいい。そおゆうことだよねクリスピアン。

Burning Down

最新アルバムでも彼らの音楽性は全くブレてなくて最新のラーガロックやアシッドフォークを聴くことができます。

ジャケットの話の続きになりますがクーラシェイカーはルーツロックへのリスペクトと古き良きアメリカへのノスタルジーが感じられます。

クーラシェイカーが一度解散したあとにクリスピアンが結成した”The Jeevas”で”Once Upon A Time in America”なんて曲もあります。(名曲)

こんなことを僕は妄想します。伝説のクラシェクハラ王がベーリング海峡を渡りインディアンやカウボーイを従え悪魔と戦う姿を。

東洋思想やいい線行きそうだったヒッピーカルチャー。クーラシェイカーの道のりもアメリカの歴史に重なってくる。

“Burning Down”でのアコースティックなサウンドからロックになる展開はクーラシェイカー王道のパターン。

呪詛のように聴こえる言葉も生まれ変わりと死について歌った曲なのだそうです。

108 Ways To Leave Your Narcissist

曲の合間にいくつか入る神父様のありがたいお説教。ちょっとひとりごちなところもあるありがたいお話の腰をへし折る女。

聖歌隊女性リーダー。ブルースブラザーズのペンギンもそうだけど向こうの尼さんネタ最高。

このコントのあと間髪入れず始まるこの曲。マッドチェスター最重要バンドの曲のリフレインを思い出す。

もうこの人たちもResurrectionすればいいのに。(数年前一回再結成はしてます)

ちなみにこの聖歌隊女性リーダー、ソングライターでコメディアンのジェーン・スタンネスとゆう方だそうです。助演女優賞をおくりたいと思います。

303 Revisited

クーラシェイカーのこれまでの旅路を歌った曲。303号線を人生にみたてたこの歌を歌える年齢になったんですね。

デビュー当時の彼らに思いをめぐらし自分も歳をとったなあと感慨深い。

アーサー王伝説所縁のグラストンベリーもロックの聖地です。ジャケットの背景もイングランドの風景。

いいことも悪いこともあったけどあの頃にはもうもどれない。クリスピアンの優しい歌声が泣ける。

The Once and Future King

キーボード担当のハリー・ブロードベントが作曲に初めて参加した曲。80sのシンセサウンドは近年流行ってます。

アルバムのタイトル候補にもあがっていたこの曲。”かつて王だった未来の王になる者”。

今作のアルバムタイトルは日本人にはピンとこないかもしれませんがアルバムのコンセプトを知るとなるほどと思います。

“とある教会での礼拝にて”。このくらいのニュアンスがわかりやすいかな。礼拝に集まった者たちの人生が曲のテーマとして扱われこのアルバムをイヤフォンで聴いてる人たちも追体験する。

この曲はまさに教会で体験する啓示のようで説明できない感覚になります。

Coda(Cinema Club)

今作ユーモアとアイデア、演奏のテクニック、どれをとっても素晴らしかった。

ゴリゴリのロックチューン。荘厳な大合唱。ノスタルジックなフォークサウンド。シンセサウンドも聴ける。

ライナーのクリスピアンの解説も優しい語り口で疲弊した体に再びエネルギーが満たされる思いがしました。

今日は僕たちが勝利する。明日にはまた戦うことになるかもしれないけれど。クリスピアンの言葉です。未来の王たる者は僕たちのことでもあるのです。

項数の関係で紹介しきれなかった曲もどれも素晴らしかった。みんなのお気に入りの曲も教えてほしい。

ところで教会で映画の上映会があるなんて知らなかった。広い礼拝堂にスクリーンを張ってチケット代は教会の運営資金にするのかな?

聖歌隊女性リーダーのお気に入りはリーサルウェポンやスラッシャームービーのようです。

教会の屋根に穴開けた奴。はやく逃げたほうがいいぞ。

まとめ

Thank you for Kula shaker!

You’re Messiah!