ミッシェルVSブランキージェットシティー
- 2024.01.08
- アーティスト語り
- バンド, ブランキージェットシティー, ミッシェルガンエレファント, 弐ノ盆, 音楽
ミッシェルとブランキーのファン同士の軋轢に僕は無関係だったのは以前話した気がします。
YouTubeではこの対立構造でどっちがカッコいいか決めようぜ!みたいな動画があがっていて見ていて面白い。
ガレージでパンキッシュな両バンドの好きな所とルーツについてうろ覚えな浅~い知識と妄想を交えて語る。
ガソリンの揺れ方
ブランキーとミッシェルは同じテーマを扱っている曲が多い。ガソリンの揺れ方はブランキーの曲で単車乗りは必聴。
イントロからめちゃくちゃカッコいいこの曲。1弦開放の美しいペダルトーンからゴリゴリのリフ。歌詞は不良少年の美学が歌われています。
ただ鉄の塊に跨って自分の命揺らしているだけ
男子にDNAレベルで刻まれたこの衝動(原付しか乗れんけど)。モーターカルチャーとロックミュージックは古くから同調しています。ブランキーやミシェルのバイクに纏わる歌はアメリカンニューシネマの風景が目に浮かぶ。
モッズとロッカーの対立構造が1990年代の日本でミッシェルファンとブランキーファンの間で再熱するのが面白い。
同じようにバイクのことが歌われたミッシェルの名曲”GT400″のMVではカフェレーサーっぽいバイクが登場します。(ハーレー?)
モッズやパブロックをルーツにもつミッシェル。このへんの微妙なディテールの違いが個性となり好みが分かれるのかも。
冬のセーター
FMで一番最初に聴いたブランキーの曲。バブル経済崩壊前夜、本物の不良少年ベンジーこと浅井健一は腹くくっています。
この時の放送はLIVEでほかに”ディズニーランド” “Baby Baby”を演奏。Baby Babyはライブ音源しかないので貴重なテイク。たしか録音したテープがどこかに埋まっているはず。
浅井さんの見ている世界は残酷で美しい。
モデルガンで自分の頭を打った
自殺ゴッコと言うと不健康なイメージしか浮かびませんが毎日嫌なニュースばかりでもうウンザリ。そんな気分の時もある。
田島昭宇の漫画になんでもない朝の日常、軽い気持ちで自殺する。そんな短編があった(気がする)。当時は”死”すらポップなカルチャーとして扱われていて今日ではたいして考察もされず非常識かつ不謹慎と一蹴されるのみ。
別に本当に死にたいわけじゃない。核の冬に備えて”おばあさんの編んでくれた”セーターを着る歌の主人公(ベンジー)。
物騒なワードが並ぶこの歌で救いがあるこの部分はベンジーの人柄も少し垣間見えるような気がします。
スーサイドモーニング
かたやミッシェル チバユウスケの詩の世界。どうせ死ぬならこんな日がいい。少ない語り口の羅列、初期のミッシェルに多く見られます。
ライナーで歌詞を見るとシンプルな構成と言葉の少なさに改めて驚きます。
花に食べられたいね
これは”リトル・ショップ・オブ・ホラーズ”のことでは?この世界がロクでもないのは最初からわかってた。映画にも造詣が深いチバさんのセンスが光ります。
曲の最後は弁証法的な繰り返しで答えは聴くものに委ねられます。アメリカンニューシネマや”いちご白書”のエンディングの消失感に似た切ない気持ちになります。
チバさんの最近のインタビューでロックとは何かの質問に
何かの希望であって欲しい
とお答えになっていました。
あとこの曲ギターもカッコいい。ONコードの力強いリフ。ブリッジミュートのザクザクしたコード進行。マシンガンもちらっとあるよ。アベフトシ最高。
赤いタンバリン
シングルで一番ヒットした曲。もちろん僕も買いました。ジャケのスーツに身を包む3人がカッコいい!
この曲は最高にキュートで優しさに満ち溢れています。ファンには釈迦に説法、浅井さんの娘が生まれた時の感動と小さな生命への驚きがベンジーらしい言葉で綴られています。
人は愛し合うために生きてるって噂本当かもしれないぜ
控えめですが確信しています。
僕よりふた周りも年下の友達もブランキー聴いててギターとヤマハのアンプを担いで家に遊びにきたことがあります。(僕の住んでる所は結構坂でしかも自転車で来た)
驚いたのはグレッチにかなり太い弦を張っていてかなりテンションがキツかったこと。ベンジーはアーニーボールの11~48だったかな?
N君のグレッチは6弦がベースみたいに太かった。さすがギター担いで自転車漕いでくるだけあるなあと感心しました。
そのとき弾いてくれたのがこの曲でした。
ブラックタンバリン
3年やって成果がでなければまともな職につけ。バンドを志す若者が必ず親から言われるやつ。なんで3年なんですかね?
うだつの上がらない日々を歌った(であろう)この曲。チバさんカッコいいよね。ネット界隈ではブランキーの赤いタンバリンとの関連が噂されますがたまたまだって。でもこのシンクロが両バンドのライバル的な立ち位置を際立てますね。
ライブでは走りがちになりそうな曲ですがクハラさんの精密な8ビートでバチっと決まるんです。
この頃のチバさんは裸足でステージに立ったり飛んだり跳ねたりで楽しそう。
悪いひとたち
言わずと知れたブランキーの名曲。多くのファンが歌詞の考察を試みています。
曲の中盤から具体的な人物にフォーカスがあてられます。シナリオライターを夢見る裕福な男とその彼女。貧しい黒人男性。ガイコツマークの車(多分ポンティアックGTO)の主人公。すべて”悪いひとたち”の子孫。
歌に登場する人物たちの視線は別々の方向を向いていますがそれらが交差する瞬間までが歌われます。
“日傘をさして歩く彼の恋人”と”黒い肌に包まれたチキンジョージ”は両方ともイノセントな象徴として描かれていて弱者と強者、善悪の境界の危うさが問われます。
正座して聴きましょう。
さて、ミッシェルVSブランキーですが未聴の方はぜひ両方聴いて欲しい。ブランキーのドラム中村達也さんのルーツも面白いしチバさんと照井さんのROSSOや浅井さんが今やってる複数のユニットなどファミリーツリーを辿って聴くのも楽しいでしょう。
最後に
この記事を書いてる最中チバユウスケさんの訃報が届きました。
ミッシェルやTHE BIRTHDAYで歌われるドライな死生観にはどこか救いがありました。チバユウスケの優しい眼差しに胸が締め付けられます。
I was walkin’ & sleepin’
ありがとう。また、
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