王立宇宙軍の世界

王立宇宙軍の世界

王立宇宙軍 オネアミスの翼観てきました。もう35年も前の映画なんですね。

長編アニメ映画 王立宇宙軍の話。

オネアミスの翼

中学生の僕と今の僕とで見方が変わって正直この度のリバイバル上映は恐る恐るでした。

ちょっといやらしい目線で観てしまうのは当時のスタッフの年齢を超えてしまったからですね。

ただやっぱりすごい映画だなあというのが久しぶりに観た感想です。すごい映画イコール良い映画ではないのですが愛すべき映画なのは間違いないです。自分が得に気に入ってるのはOPですね。

画家の大西信之先生の絵がOPで流れるんですがズルい。このOPでどんな映画か大体わかるようになっていてジブリでもよくあるやつ。

語られない異世界の歴史絵巻とジェット戦闘機の発艦シーン。教授のOP曲もめちゃくちゃカッコいいです。

第3スチラドゥ

第3スチラドゥてなんじゃい?いきなり失礼しました。劇中に登場するレシプロ機。オネアミス王国の戦闘機。

主人公シロツグが訓練で乗る複座型が好き。プッシャー式で二重反転プロペラ、カットラスに似てる。*プッシャー式 プロペラが機体後部に配置される形式。対して前部に配置される形式はトラクター式*

空母からの離艦を考えるとプッシャー式危ない気がするけどエンジンブロックが独立して高い位置にあるので大丈夫なのでしょう。

SFに登場する飛行機はプッシャー式や前進翼機が良く出てきます。既視感とどこか似てるけど微妙に違う世界。

王立宇宙軍はプッシャー式が主流になった異世界で僕らの住む世界の表裏ともとれます。

PLUMのキット 単座もでてます

 細かいディテールの積み重ねがオネアミス王国にリアリティを生みスクリーンの隅から隅まで目が離せませんでした。

物語の時代背景は現実の世界で言うと1960年代あたりでしょうか?地理的には東欧の辺りで湖は黒海を連想させます。(おそらく黒海よりさらに広い内海)

第4号ロケット 

ロシアのボストークロケットそのものです。現役でソユーズの打ち上げに使われています。

王立宇宙軍はアポロ計画やボストーク計画の記録映画のおもむきで作られています。 

見切れるので外で撮影。昔作ったプラモ

ボストークロケットはまちがいなく世界一カッコいい乗り物でしょう。人間3人を宇宙空間に送るためだけのピースフルな乗り物。(元はICBM)

2段目と3段目の分離のときトラス構造がバシャッて開くとこカッコよ杉。

王立宇宙軍のロケットは一人乗りの宇宙船 通称”宇宙戦艦”を宇宙空間に打ち上げるための三段式ロケット。

主人公を宇宙空間に送り出して”私はカモメ”をやるわけです。

映画が作られた時期から考えると映像クリエイターたち(特にアニメ関係)はナウシカを観た後だったので反重力よりもリアリティのある飛行の描写に挑戦する時期だったのかもしれません。

ジブリの御大も後を追う形になりますが”紅の豚”でサボイヤを飛ばしそれでも飽きたらず”九試単戦”を蘇らせたりしました。 

これはグッスマのキット

ここでちょっといい話

当ブログの主人、壱ノ盆がジブリの”風立ちぬ”を観てきた時のこと。僕はまだ未見でしたが”モデルグラフィックス”の連載で内容は大体知っていました。

壱ノ盆はメカには全く無頓着の人でですね、この映画観ない限り零戦のプロトタイプ”九試単戦”のことなんか死ぬまで知らずに済んだはずなのに。僕はハヤオに対して怒りすら覚えたのですね。

恐る恐る聞いてみました。

僕)九試単戦はどうだった?

壱)きゅうしたんせんってなんですか?

大丈夫でした。

オネアミスrevisited

誰得の映画かといえば僕みたいなオタク趣味の人間が好む映画ですね。ちっくとっくばかりみてる若い人にはくそ退屈な映画でしょう。

冷静な目でみるとロケットの打ち上げがアニメ映画製作のメタになっていて悪く言えば道楽、良く言えば挑戦でもあったんだろうなと思います。(制作側の自負もあったでしょう)

スポンサーを納得させるのは大変だったと想像に難くない。あと”AKIRA”をかなり意識していたのもわかります。

怠惰な若者とバイクアクション、老人達、建物の色使いや昭和の風情など。ジブリをはじめハイクォリティのアニメが量産されたいい時代でした。

半世紀生きてみかえした時この映画が無理に映画とし着地しようとしているのが分かって痛痛しかった。(多分スポンサーのテコ入れもあったはず)

まちがいなく好きな映画ではあるんですけどロケットを打ち上げる話とは言え”私はカモメ”はやって欲しくなかったかなあ。

あくまで記録映画の体裁でもっと観客をほったらかしにする映画であっても良かったと思うのです。

それは彼らがやっていた文化祭やSF大会の続きであってそれこそ超巨大なハリボテであっていいと思う。

それで世紀の駄作だと言われたとしても僕は全力で応援したと思います。それほどこの映画は魅力的なのです。

あのときシロツグにはなんて言わせれば良かったのかなあ?何れにせよまともな感性の人なら納得のシーンではあるのですが。

対して最後まで本懐のわからないリイクニは不気味ですが他のキャラクターが喋りすぎなので返って引き立っていたと思います。

アスカの”気持ち悪い”をもうやっています。有名な話ですが件のリイクニがシロツグに襲われそうになるシーンは漫画家の”江川達也先生”作画なんだって。

ほぼ同時期の企画の人狼やスカイクロラも王立宇宙軍とプロットに類似性があって興味深い。そお言えば宇宙軍の登場人物で押井守監督いましたね。(天文台に出張になる猫の人。ちがうかな?)

まとめ

共和国軍が侵攻するとき流れる曲もカッコいい。サントラ欲しいっす。