トップをねらえ!みたってよ。

トップをねらえ!みたってよ。

OVAトップをねらえ!35周年おめでとうございます。ということで大きなスクリーンで観てきました。

岡田斗司夫氏の解説 裏話がYouTubeで見ることができますが、ここでは一ファンとしてのゆる~い感想や妄想などいつものやつです。

トップをねらえ!

王立宇宙軍の興行不振(僕は観に行ったぞ)を受け制作されたガイナックスのビデオシリーズ。テレビでやんないやつ。

リイクニじゃ萌えねえ、

ってなったとかならんとか、売れるビデオを作ろうということでSFの古典を下敷きにみんなの好きなあれやこれやが詰め込まれたSFロボットアニメ。

美樹本先生の描く美少女たちは露出度の高いコスチューム。(サービスその1 やたらオッパイが揺れます)

必然的なシチュエーションでもそうでないシーンでもこのへんは必要以上に作画に力が注がれています。

これはビデオシリーズを買える経済力がある世代をターゲットにしていたこととなにより

作ってるやつが一番助平だから

ということ。

作画監督には貞本義行氏が参加されています。5話 6話では実験的にモノクロ映像とシネスコサイズで王立宇宙軍の記録映像のような雰囲気に。エヴァでよく見る明朝体表現と巨大建造物の演出がこの頃に完成されています。

バスターマシン

シン・エヴァンゲリヲンの円盤に特典映像沢山付いてます。空白の14年間がタラコ唇のおねえちゃんの目線でQの弐号機 八号機の打ち上げ直前まで描かれます。

サンダーバード2号やウルトラセブンのホーク1号の発進シークエンスは燃える。特撮ファンの間では心踊るシーンとして”ワンダバ”と呼ばれ愛されています。

第5話の冒頭でバスターマシン1号 同2号の打ち上げシーン、ライトスタッフや映画版サンダーバードのゼロX号のオマージュ。

搭乗までの新幹線からエスカー(ケーブルカーのような乗り物)の移動が丁寧に描かれて発射までの時間を盛り上げます。(サービスその2)

60年代の特撮もサイエンティフィックなモチーフとしてロケットが沢山出てきます。バスターマシンのデザインが古典的な宇宙船としてデザインされているのも特撮ファンへのサービス。

第6話の軌道ロープウェイでカズミが宇宙ステーションまで移動するシーン。ロープウェイがまたローテクなデザインでモノクロの映像とあいまってノスタルジックな雰囲気が良い。

軌道エレベーターは実現可能な技術として注目されています。ロケットよりローコストに資材を衛星軌道まで運べる技術と前後してバスターマシンの打ち上げ両方を描いています。

軌道エレベータだけでも一本作品ができそうな夢の建造物。カズミが乗る軌道ロープウェイは観光やステーションに勤務する人が乗る車両と思われます。おそらく貨物運搬用に別のケーブルと車両があるのでしょう。

マシン兵器

マシン兵器のデザインは当時のトレンドを少し外している印象がありました。

横山光輝や永井豪の漫画に登場するオールドスクールなデザインでエルガイムをみたあとだと当時はどんなロボットもイモに見えた。

90年代に入るとゲームやスチームパンクの影響で所謂スーパーロボットに分類されるロボットデザインが復権を果たし今日に続いていきます。

スタッフリストにはメカデザインの宮武一貴さんとは別にロボットデザインとして大畑晃一さんの名前が見られます。

MDガイストの人じゃん!

OVA百花繚乱の戦国時代にひっそり咲いた徒花。(本当に失礼、ちなみにアメリカでは人気があります)

マシン兵器はコミカルな描写も多く決してカッコよくないんですが、核弾頭ミサイルを背負い出撃するシリアスな描写にミスマッチも相まって切なくなりました。

エースをねらえ!のパロディでもある今作で油断して号泣なんて人も少なくないでしょう。

35年の歳月でギャグが風化してないか心配でしたがそのへんは大丈夫でした。エンディングの前田真宏さんのイラストは卑怯。

あと今回発見したツボでオオタコーチが自室でカズミと会話するシーン。和服で碁を打つコーチ。

碁盤の側面に零士メーターが…

いいなぁバカで。

ガンバスター

ジャイアントロボのOVAが跳ねてスーパーロボットが復活。硬軟取り混ぜてロボットアニメは今日も人気のあるジャンル。

それ以前に生まれたガンバスターは当時のトレンドを外したデザインだったのは先程述べました。

庵野監督のインタビューでご自身の作品(シン・エヴァのこと)を自嘲と自負を交えるような言い方でロボットアニメと称していたのが印象的です。

トップをねらえ!ではビデオ本体の販売が目的だったのでスポンサーのテコ入れもなくメカデザインは比較的自由だったとか。

その反面キャラクターデザインは当時の売れ線の絵が求められていたのかもしれない。

ガンバスターのデザインはゲッタードラゴン。庵野監督のリクエストがあったかどうかはわからないですが円柱の連続と曲面主体のデザインは作画の負担を減らす意味もあったのではないでしょうか。 

合体シーンはロボットアニメの一番の見せ場。オモチャやプラモなんかでないのにやりすぎなくらいベタで最高のシーン(サービスその3)。

今では出来のいい完成品が手に入ります。いい時代になりました。ガンバスターやマシン兵器の好きなところは間接部の防塵カバー、いい形をしてる。

古典SF復権の一面もあるトップをねらえ!ではロボットのデザインも古典からの引用が多くこのメソッドはスチームパンクと連動してOVAのジャイアントロボやビッグオーに受け継がれていきます。

一方で宇宙船のデザインは古典的なデザインから最新鋭のエルトリウム級に。スラスターのない謎い推進方法で映像では航海士のイルカがちらっと映ります。

DUNEのナビゲーターや記憶屋ジョニーの電脳イルカが元ネタでテクノロジーの急速な進歩が描かれ続編のトップをねらえ2!のエスパー、トップレスの設定にも影響しています。

トップをねらえ2!

実は2の方が好き。ポップに生まれ変わったキャラクターやバスターマシン。キャラクターデザインは貞本義行。

前作のSF設定を引き継ぎ新しい表現に挑戦した正当な続編。2000年代にはポストエヴァとしてエウレカセブンやグレンラガンなどSFロボット物が豊作。

マイナー作品と言ったら失礼ですがギガンティックフォーミュラも好きだったなあ。

これらの作品に共通していえるのは躍動感のあるメカニック描写とハードなSF設定 それと登場キャラクター達のスラップスティックな演出があります。

トップ2もポップなキャラクター達でそんな印象もありますが中盤からのシリアスな展開が突き刺さります。

愛らしいキャラクター達は残酷な目に合いますがそこで描かれるのは自己犠牲。日本人の好む美学とも言えますが観ているものは試されます。文字通りの地球の等価はノリコとカズミの帰還。

シン・仮面ライダー追記

庵野監督最新作(2023現在)シン・仮面ライダーにもトップから続く演出を見ることができるでしょう。

ほとぼりが冷めた頃ですがライダー祭りはまだ続いていますよ。ライダーチップスや公式で発表されている演者や怪人のスチール写真風画像。

古い電話の受話器をもっているライダーや怪人たちの画像をみなさんもご覧になられたと思います。

庵野作品で描かれる世界は映像に映らない細部まで設定されて命が吹き込まれていきます。シン・仮面ライダーでは実写映画なのでそのへんはロケーションで補完されています。

映画公開後も続くオフショットの配信やライダーカードも本編と地続きで等身大のヒーローの世界線が令和の日常と交差します。

昭和ライダーガチ勢も孫ができ人生の最終コーナーを回るか否かの年齢。ライダーカードや変身ベルトに夢中になったあの頃の興奮が追体験できる仕掛けとしてシン・仮面ライダーは高度なエンタメだったと改めて感じました。

まとめ

オカエリナサイ。